【90分間の観戦マイルール】Case4 女優・田中真琴さんは、チームカラーを身に付けて、非日常体験に酔いしれる。
あの人の観戦ってどんなだろう。
サッカーの自由な楽しみかたは、試合観戦のスタイルにこそ表れます。
スタジアムに足を運んで選手たちの熱気を感じながら観るもよし、好きなお菓子をつまみながら自宅のテレビで観るのもよし。どんな場所・服装で観たって、どんなところに注目して観たって良いし、”ながら観戦”だってアリなんです。
この企画では、各界で活躍するサッカー好きたちに、試合を観戦する時の極めて個人的なルールやこだわりをお聞きし、ユニークな楽しみかたを発掘していきます。
今回お話を聞いたのは、女優の田中真琴さん。今年主演の映画『異物-完全版-』が公開されるなど女優としての飛躍に注目が集まる一方、自身のSNSやYouTubeではサッカー観戦の様子を熱心に発信。「テレビ観戦も好きだけど、俄然現場派です」と語る田中さんに、独自の観戦ルールを伺いました。
ユニフォームで気持ちを高め、
チームカラーを意識したアイテムで会場と一体に。
はじめてのサッカー観戦は、もしかするとまだお腹の中にいた頃かもしれません。母親が大のサッカー好きで、物心つく前からスタジアムや練習場に連れて行ってくれていました。家族団欒の話題ももっぱらサッカー。晩御飯を食べながら、みんなでテレビ観戦するのが定番でしたね。小学校低学年の頃に、関西で行われたJリーグの試合で、当時ジュビロ磐田に所属していたゴン中山こと中山雅史選手がハットトリックで勝利を決めたことがあったんです。幼いながらに感動して、試合終了後にひとりで応援席の最前列まで走って行き、熱狂するサポーターに混じってジャンプしていた思い出があります。
小学校低学年の頃、家族でスタジアム観戦をした時の写真。大好きなお姉さんと一緒に、チームカラーのネイルをして会場に向かっていた。
だから私にとってスタジアム観戦は、週末にお買い物をしたり、映画を観たりするくらい身近な、“おでかけ”のひとつ。おしゃれだってして行きたいんです。そのために欠かせないのが、ユニフォーム。スポーティーなユニフォームって、女の子を可愛いく見せてくれると思うんです。且つ、普段なかなか着れないものなので、非日常感に気分も高まります。合わせるアイテムを選ぶときに気をつけているのは、対戦相手の色を入れないこと。制約のようにも思えますが、その中でいかに可愛く着こなせるかを考えるのもの楽しくて。だから普段お買い物をするとき、応援しているジュビロ磐田の淡いブルーのアイテムを無意識に選んでしまい、クローゼットの色が偏っています(笑)。
スタジアム観戦時の田中真琴さん。スカートで行くことが多いが、雨が降りそうな日はパンツスタイルに。ユニフォームを持っていない時は、差し色としてチームカラーを入れることも。
それからスタジアム観戦では写真もたくさん撮ります。ついつい撮りたくなるようなシーンが多いんですよ。毎回カメラに収めてしまうのは、サポーターたちが、一斉に空に向かってタオルを掲げる瞬間。試合前、応援の一環で行われるのですが、スタジアムのひらけた青空を背景に、みんなの手とタオルが浮かぶ光景がすごく素敵なんです。メインスタンドの後方の席を選ぶと、この景色が見れますよ。メインスタンドは、ベンチも近いのでアップしている選手の掛け声やコーチの声も聞こえます。特に私は、控えの選手が交代で呼ばれてビブスを脱ぐ瞬間が好きで。その一瞬の表情から、もちろんスタメンで入りたかっただろうけど、控えとして選ばれた選手の、自分はここで結果を残すんだ! という思いが伝わってくるんです。
空に向かってタオルを掲げている時の写真。声援を送ることができなくとも、選手の応援につながるという。
スタジアム観戦の面白さって、やっぱり非日常を味わえるところにあると思うんです。大人たちが熱狂しながら、同じ対象を応援する。しかも名前も知らない人たちが時間と空間を共有して一体となるなんてすごいことですよね。その感動は、知識がなくたって味わえる。映画を観に行ったりテーマパークに遊び行ったりするのと同じ感覚で、ふらっとスタジアムに出かけると、そこにはサポーターの熱気と選手たちのボールにかける想いがひとつになった、ドラマチックな空間が広がっているんです。