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【90分間の観戦マイルール】Case6サッカーユニフォーム研究家・ともさんは、縁起のいいユニフォームでチームと一心同体になる。

あの人の観戦ってどんなだろう。


サッカーの自由な楽しみかたは、試合観戦のスタイルにこそ表れます。
スタジアムに足を運んで選手たちの熱気を感じながら観るもよし、好きなお菓子をつまみながら自宅のテレビで観るのもよし。どんな場所・服装で観たって、どんなところに注目して観たって良いし、”ながら観戦”だってアリなんです。
この企画では、各界で活躍するサッカー好きたちに、試合を観戦する時の極めて個人的なルールやこだわりをお聞きし、ユニークな楽しみかたを発掘していきます。

 今回お話を聞いたのは、「サッカーユニフォーム研究家」を自称し、全国各地のサッカーユニフォームを独自の視点で分析し、SNSでその魅力を発信している、ともさん。200枚を超える歴代のユニフォームを所持しながら、ファンアートとして約1000種類のユニフォームをデザイン画で再現しているともさんに、試合観戦のマイルールを伺いました。


試合のゲン担ぎは、ユニフォーム選びから始まる。

 サッカーユニフォーム研究家を自称している僕の主な活動は、日本代表・Jリーグ、国内外問わず、歴代のユニフォームをデザイン画に落とし込みながら、その変遷や流行を分析すること。もちろん、サッカー観戦も日常的に行っていて、スタジアム観戦だけでいうと、少なくとも年間5〜6試合は足を運んでいます。職業柄、試合中はついつい選手やスタッフが身につけているものに目がいってしまいますね。ついこの間、サウジアラビア代表の背番号の“フォント”が、アウェーで対戦した時と違うことに気づきました(笑)。まあこれはあくまで、僕独自の分析ですけどね。

 僕の試合観戦のマイルールといえば、スタジアムやテレビ観戦問わず、縁起の良いユニフォームを着ることでしょうか。コレクターでもある僕は、日本代表の歴代ユニフォームを20枚ほど持っていて、毎試合、どれを着ようか選ぶことから始めます。選ぶ主軸は、ずばり縁起の良さ。「今日の対戦国に勝利している2002年のユニフォームにしよう!」とか、「スターティングメンバーの選手が点を決めた2008年のものを着よう!」とか、観戦する試合と過去のエピソードを結びつけて選んでいます。根拠も何もないので、本当にただの願掛け。お守りを握っているような感覚に近いですね(笑)。

日本代表戦に限っては、ホームの試合は青色、アウェーの試合は白色のユニフォームを着るように意識しています。選手たちと同じ色を身に纏っているだけで、なんだかチームの一員になれた気がして、自分自身の士気も高まるんです。それに、客席が青色に染まった光景は、選手たちも嬉しいのかなって。たとえ声援は届かなくても、服の色から気持ちが伝わるといいなと思っています。

ともさんが所有している、日本代表ユニフォームの一部。手前中央は、「日本晴れ」がコンセプトになった、サッカー日本代表2020ホームユニフォーム。


ユニフォームのコンセプトから生まれた、新たなマイルール。

かれこれ30年以上サッカーに携わっている僕ですが、ここ最近、新たな試合観戦のルーティンができたんです。それは、スタジアムの空を見上げること。当たり前のように思えますが、実はこれにもユニフォームが絡んでいます。2020年に発表された日本代表のユニフォームのコンセプトは、「日本晴れ」。空模様をコラージュしたデザインになっていて、選手やサポーターがそれぞれの場所で見てきたそれぞれの空を集め、雲ひとつない最高の青空“日本晴れ”に向かっていこうという願いが込められています。「日本晴れ」のコンセプトムービーでは、少年が試合に負けた日に見上げた「努力を見守る空」、選手が練習中に見上げた「勝利を誓う空」のように、同じ空でも見上げる人によって捉え方が違うんだと伝えています。このコンセプトに強く共感して、では僕がスタジアムで見上げる空ってどんな空だろうと考えるようになったんです。

 それからというもの、手に汗握る試合中に見上げる晴れた空、点が決まり歓声に満ちた夜空など、毎試合欠かさず写真に収めています。他の人が見たらごく普通の空かもしれませんが、僕はその時の自分の感情が蘇ってくるんですよね。

 ちなみに、空をモチーフにしたのは、1964年の東京オリンピックで旧国立競技場の真上にブルーインパルスが五輪の雲を描いたことも関係しているそうです。当時のアイコニックな出来事を、東京2020オリンピックにも伝承したんですね。

2021年4月に国立競技場で行われたなでしこジャパンの強化試合で、試合前にともさんが見上げた空。雲ひとつない青空は、まるで7対0の快勝を予感しているかのよう。


ワールドカップとオリンピックを契機に、2年おきに刷新される日本代表のユニフォーム。もちろんデザイン自体を楽しむのもひとつですが、その裏に込められた背景を調べてみるのも面白いんですよ。「日本晴れ」の時のように、まだ気づいていない、サッカー観戦の楽しみ方が見つかるかもしれません。

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