【カルチャー作品からサッカーを楽しもう!】第2回 サッカー漫画編
プレーヤーのキャラクターに親近感が湧く~サッカー漫画篇~
多くの漫画や映画、小説などで作品のテーマとして描かれているサッカー。ジャンルの一つとしても確立している一方で、「専門用語が飛び交っていて難しそう」「サッカー自体に興味がないと楽しめないのでは」など、”サッカー”というだけで倦厭してしまう方もいるのではないでしょうか。
しかし中には、ストーリー自体が魅力的だったり、登場するキャラクターがユニークだったりと、馴染みのない方にも楽しんでもらえる作品があります。私たち「SAMURAI BLUEの中の人」の目線で、幅広く多くの方にオススメしたい作品を紹介していきます。
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映画篇に続く第2回目は、「プレーヤーに親近感が湧く〜サッカー漫画篇〜」。ニュースや伝記などで数々の名プレーとともに紹介される選手たちは、一見超人のようで、どこか遠い存在に感じるもの。しかし、彼らも私たちと同じように、些細なことで悩み、喜び、時には腹を立てることもあるはずです。そこで今回は、プレーヤーたちの等身大のパーソナリティが丁寧に描写された3つの漫画作品を選んでみました。
―才能がなくても、失敗だらけでも、努力はいつか実を結ぶ。
『DAYS』安田剛士 著
運動が苦手で気弱な少年・柄本つくしが、天才サッカー少年・風間陣との出会いをきっかけに、高校サッカーに打ち込んでいく青春漫画。サッカー初心者であるにも関わらず、全国制覇を目指すような強豪校に入部してしまったつくしは、才能が開花するわけでもなく、何をやっても失敗ばかり。しかし、仲間との約束を守るために雨の中を走り、足がマメだらけになっても走り続ける。そんな素直さと愚直さが、次第に周囲の心も動かし、彼自身の成長にも繋がっていきます。自信がないからこそ努力を続ける主人公のひたむきな姿は、ジャンルは違えど何か新しいことに挑戦する時に、勇気を与えてくれます。
2013年4月から2021年1月まで『週刊少年マガジン』で連載。2016年にはアニメ化され、2017年には青い鳥文庫からノベライズ版が出版された。全42巻。講談社/各462円。
―困難をものともしない。その先に見えてくる世界とは。
『さよなら私のクラマー』新川直司 著
不完全燃焼に終わった中学時代の無念を晴らすべく、高校でも女子サッカーを続けることを決意した主人公の周防すみれ。しかし彼女が入部したのは、決して強豪とは言えない女子サッカー部でした。さまざまな困難や苦悩にぶつかっても、前を向き続ける彼女たち。恵まれない環境の中でもひたむきにサッカーに向き合う姿は思わず心打たれます。努力を続け、高みを目指していくその姿は、何かに打ち込んだ経験のある人を肯定し、今まさに努力を続けている人の背中を押してくれます。
数々の賞を受賞した『4月は君の嘘』の著書である新井直司が描いた高校女子サッカー漫画。2016年より『月刊少年マガジン』にて連載開始。2021年4月には、テレビアニメと映画が同時期に公開予定。2021年3月時点で、13巻まで発売中。講談社/1巻528円、2~13巻495円。
―稀代の名選手たちの、人間味あふれるエピソード集。
『ワイルド・フットボール サッカー界の暴れん坊たち』手原和憲 著
スポーツバーで働くサッカーオタクのナナが、世界のサッカー選手たちにまつわる豪快で規格外のエピソードを紹介していく作品です。取り上げるのは、歴代最年少で代表に選ばれ、その伝説的な半生が映画にもなったディエゴ・マラドーナや、選手と監督と兼任するという前代未聞の肩書を誇ったジェンナーロ・ガットゥーゾなど、数々の偉業を残した選手たち。彼らのがむしゃらな姿勢は、サッカーに留まらず、私生活にも垣間見えていて、リオのカーニバルへ行くために試合を早退したり、会えない恋人を想って大号泣したり、納得のいかない事には正面から噛みついたり……。喜怒哀楽に満ちたエピソードは、レジェンド選手だということを忘れてしまうほど人間味に溢れていて、ついつい親近感を抱いてしまいます。
『ミル』や『68m』などのサッカー漫画を描いてきた手原和憲による、実話をもとにした解説漫画。文末には、参考文献も載っている。KADOKAWA/1,210 円。
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3作品は、いかがでしたか? 普段、画面越しの試合で観る選手たちは浮世離れした天才集団のようにも見えますが、今回紹介した漫画作品の主人公に共感するように、選手たちが持つ背景や歴史を知ることで、サッカー自体がもっと身近に感じられるかもしれません。あなたが見つけた作品の魅力や感想、そして他にもオススメの作品があれば、ぜひコメントで教えてください!