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“中の人”の真夏の大冒険ベスト3~東京オリンピックの舞台裏~

この夏、たくさんのドラマが生まれた東京オリンピック2020。
サッカー競技の運営には“中の人”たちも様々な役割で携わりました。
今回は 、チームを24時間体制でサポートする「リエゾンオフィサー」としてザンビア女子代表チームと15日間を共に過ごした“中の人”が経験した、オリンピック期間中の「真夏の大冒険ベスト3」をご紹介します。

【そもそもリエゾンオフィサーとは?】
リエゾンオフィサーとは、出場チームが来日してから帰国するまで24時間、常にチームに帯同する役割です。選手が最大限のパフォーマンスを発揮できるよう、チームからの多種多様なリクエスト(練習会場や輸送の手配、ホテルでの食事、入院手続きまで多岐に渡ります)に応えたり、大会の円滑な進行に向けてチームに様々なルール(感染対策も含む)やスケジュールを守るように働きかけたりと、上手くマネジメントすることがミッションでした。

今回の大冒険の主人公は、普段はマーケティング部で働く“中の人”です。その他の部署からも多くのメンバーがチームリエゾンオフィサーを担い、“中の人”たちも試合・大会の円滑な運営のために総力戦で業務にあたりました。


【真夏の大冒険その1:ザンビア女子代表チームとの出合い】

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東京五輪の招致が決まったのは2013年9月7日。
小学5年生の時に開催された日韓ワールドカップをキッカケにサッカーに夢中になり、高校まではサッカー部、大学ではフットサル部でボールを蹴り続けていた自分にとって、7年後の東京五輪には何かしらの形で関わりたいなと思っていました。
それから8年後の2021年、様々なご縁が重なりサッカーの “チームリエゾンオフィサー”という形で五輪に関わることになりました。
僕が担当することになったのは「ザンビア女子代表チーム」。ザンビアは今までの自分の人生では全く接点がなく、Wikipediaで調べることから始まる状態。チームと合流しても数日間は伝えたいことも上手く伝えられず、日々変更する大会運営に関するルールや運用にも四苦八苦しました。そうした中で、試合中に選手と救急のお医者さんの間で通訳をしなければならないアクシデントが発生。緊迫した状況で、英語で説明をしなければならない時間はこれまでの人生の中でもトップクラスに心臓がバクバクする瞬間でしたが、そうした局面を一つずつ乗り越えていくにつれて選手・スタッフとも信頼関係を築くことができ、互いに綺麗な英語ではないものの活動が円滑に進むようになりました。


【真夏の大冒険その2:代表チームの練習に参加し、監督の部屋に呼び出される】

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徐々にスタッフとも信頼関係を築けてきた頃、「プレーヤーが足りないから練習に参加してほしい」 というコーチからの指示を受けました。急遽東京から大学時代に使っていたスパイクを取り寄せ、練習に参加。小中高とサッカー部に所属し、今でも時々フットサルをすることはあるものの、まさか代表選手とプレーをする日が来るとは予想していませんでした。大学ぶりの2部練はマジでキツかったのですが、やはり同じボールを蹴りあえば一気に仲良くなるのは万国共通。そして練習にとどまらず、移動やオフの時間も常にエネルギッシュで明るい選手たち。トレーニングで選手とともにボールを蹴り始めた頃から、選手からもニックネームで呼ばれるようになりました。
そして迎えたグループリーグの最終戦のブラジル女子代表との試合日の朝。監督から部屋に呼び出され、「今日はお前もこれを着て戦え」と言われて渡されたのは、なんとザンビア代表のユニフォーム。チームの一員として認めてもらえたことの嬉しさと、初めて日本以外の国を心から応援したいと思える瞬間でした。


【真夏の大冒険その3:スポーツで世界とつながる瞬間】

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大会後半はチームとともに選手村で生活する機会もあったのですが、選手村では選手が自国のピンバッチを片手に他国の選手に声を掛け、相手国のピンバッジと交換して世界中の国のピンバッジを集めるのが流行っていました。ピンバッジの交換がてらお互いの競技のことや国のことを語り合う風景はまさに、スポーツが世界を繋げているのだと体感しました。
僕自身も、オリンピックが始まるまでは遠い国だったザンビアが、この15日間を通じてとても近いものに感じられるようになりました。チームとは帰国後の今でもSNSでやり取りを続けるほど仲良くなったので、いつかみんなに会いにザンビアに行きたいと思っています。


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